Linの気まぐれトーク

映画と小説の日々

蘭の恩返し

ちょうど半年前、

コロナで孫守りにてんやわんやだったジジババも、やっと再開した学校のおかげで少しヒマな時間ができた。

かといって、外出することも憚られ、ガーデニングや大掃除。

そのとき、いつもは気にさえしていなかったシンビジュームの鉢が、雑草にまみれて瀕死の状態になっているのを発見。


義母が可愛がっていた蘭の鉢だった。

松の盆栽は愛好する人に引き取ってもらったが、

残った蘭はお母さんの形見だと思い世話して、と夫に託した。


それから20年、寒くなったら工場跡に入れ、春になったら出す、それだけを繰り返していた夫。

世話するって、そういうことじゃないでしょ、と思いつつも、こちらも仕事で忙しかった。


一昨年、2人とも年金生活になり、やっとヒマな身分になった。

夫はテレビの番人と化している。

わたしは行き届かなかった家事が、気になって仕方がない。


植木鉢を破らんばかりに盛り上がったシンビジュームの鉢もそのひとつ。

夫に言っても拉致があかないので、

全くの無知にも関わらず、花がかわいそうの一心で、株分けして窮屈な鉢から解放してやろうと思った。


が思うのは簡単、いざ始めると、その圧倒的な量に目眩がした。

蘭専用の土はすぐになくなり、赤玉土で代用し、それもなくなって花栽培用の土へ格下げ、それもなくなって、最後は元の植木鉢にあった土を使った。


全部株分けし終えるのに、丸2日かかった。



写真に写っているのは半分ほど。

それでも写真を見た友人は「植物園みたい」と驚いてくれた。

株分けの知識などないので、絡み合った欄の根はノコギリで切った。

そんな荒療治にも関わらず、偶然花芽が残ったらしい幾鉢かは、綺麗な花を咲かせてくれた。


株分けしたら2年は待て、と聞いていた。

この半年後のご褒美は思いがけなかった。



今頃になって、庭のカエデが紅葉した。



昨日は、読書会が終わった午後から、

先発組の欅の落ち葉をせっせと掃いて、落ち葉焚き。

紅葉の絨毯、楽しみだ。


力仕事をすると、腰が痛くなる。

もう、そんな歳になったんだな。