映画『スリー・ビルボード』、小説『野良犬の値段』
下に見ているとか、偏見だとか、人は言うけれど、
誰も自分が差別しているとは思っていないはず。
間違っているのは周りの方で、自分は正しい。
そう思うから、生きていける。
でも、
人のことはよくわかるけれど、自分のこととなると、さて、どうなのか。
気になる映画を観た。
主演のフランシス・マクドーマンド目当てだったけど、
確かに彼女の掛け値なしの強さに圧倒されてしまったのだけれど、
こんなに差別満載の話も珍しい。
ざっとあらすじを紹介すると、
夫とは離婚し、一男一女と暮らす主婦。
マクドーマンド演じるこの主婦は、男まさりというか、自分の周囲にいたら怖いと思うレベル。
愛想笑いもなく、言いたいことはズバリと言う。
ところが彼女の娘がレイプされ、焼死体で発見された。
犯人は捕まらない。
彼女は警察を告発する看板を作る。
それがタイトルの「スリー・ビルボード」
南部の田舎町、警察官は人種差別主義者(レイシスト)
それだけでなく、あちこちに人を貶め傷つける発言が。
例えば、動物園勤めの元夫のガールフレンドを揶揄してマクドーマンド(元妻)は「臭い」という。元夫は怒りのあまり殴りかかる。
放火犯の彼女(マクドーマンド)を庇う小男(障害者)に向けられる周囲の目も好奇心に満ちているが、彼女自身も小男を下に見ていることに気付かされる。
これは差別(人を下に見たい欲望)から自由になる、厳しい道を描いているのかも知れない、
いや、怒りが怒りを生む「差別」という不毛を描いたのか。
こちらは小説。
最新刊を図書館の予約待ちで、今日読了。
ホームレスを誘拐し、マスコミに法外な身代金を要求する話。
ここに描かれるのも、社会的に最底辺と見做されるホームレスへの視線。
久々に一気読みした。
百田さんも色々言われる作家さんですが、
これは力作だと思います。
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