Linの気まぐれトーク

映画と小説の日々

映画『キッズ・リターン』

他のSNSで、自転車映画の名作と紹介してもらった『キッズ・リターン』は、北野武監督の作品。

交通事故で生死を彷徨った後の、初の監督作品だとか。

北野作品といえば『HANA-BI』だけれど、

冷たい炎が燃えるようなバイオレンス映画はちょっと苦手、

『菊次郎の夏』のように子役の活躍する映画はホッとする。

決して甘くはないのだけれど。


今回の『キッズ・リターン』はタイトルからして子ども系と勝手に判断し、気を許して観ていたら、

バイオレンス系だった(笑


主人公は18歳の高校生。

まーちゃんとシンジは、授業をサボっては自転車の二人乗り。

教師をおちょくってみたり、

カツアゲをしたり。

ひょんなことから、

まーちゃんはヤクザの世界に、

シンジはボクシングの才能に目覚めるも、

結局、パッとしないまま、

有名なあのセリフ。


「まーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな」

「まだ始まってもいねぇよ」




暴力団に入られたら困るが、どうせ小悪党止まりさ、と嘯く教師たち。

金勘定が優先するボクシングジムの会長。

対比して描かれる大人の世界には華がない。

自転車を二人乗りするツッパリには、出口がない。

たけしの描く世界は、底が抜けてどこまでも堕ちていくような怖さがある。


続編も観てしまった。

『キッズ・リターン 再会の時』

北野武の助監督を勤めた人の監督作品だという。

三浦貴大がまーちゃんを演じている時点で、

凄みが消えて私的には安心して観られたが、

ありがちなラスト。

決して駄作ではないと思うし、こういう結末が待っているのなら、

もう一度『キッズ・リターン』を観ようという気にもなるのだけれど、

この続編をもう一度観たいとは思わない。

良くも悪くも、余韻のない終わり方なのです。


そうそう、自転車。

象徴するものは〈大人以前〉かな。

少年時代であったり、青春であったり。


やっぱり自転車って、そういうところに位置付けられてしまうのですね。