Linの気まぐれトーク

映画と小説の日々

映画『ロング・トレイル!』

らじおらじるで「山カフェ」という番組を初めて聞いた。

眠れぬ夜のラジオだ。


ご自身も山が好きな石丸謙二郎さんが紹介した『エマおばあちゃん、山をいく』、

67歳の女性が子育てを終えてからアパラチアントレイルに初挑戦、見事踏破した絵本だという。


アパラチアン・トレイル、全長3499km

アメリカ合衆国東部の森を貫く自然歩道らしい。

登山にはトレイルというジャンルもあるんだね。岩登りなど考えただけで恐ろしい私でも、緩い山歩きなら大丈夫か、と淡い期待。

早速「アパラチアン・トレイル」を検索して、この映画を知る。



主演はなんとあのロバート・レッドフォード

その妻をエマ・トンプソン



知り合いの葬儀の帰り、ふとアパラチアン・トレイルの存在を知り、意欲を掻き立てられる。

が、妻は大反対、ひとりなら絶対行かないで、と。



主人公の作家よりずっと若々しく、生活力に満ち、元気な奥さん。

結局、一緒に行くという友はなかなか見つからず、カッツという太ったおっさんと行くことに。



そのカッツ、最初からヨタヨタしていてろくに歩けそうもないし、その気力もないみたい。


どうしてこんな人と一緒に?

大親友というわけでも、信頼しているわけでも、望んでいるわけでもないのに?


が、このヨタヨタのカッツにも事情があったように、主人公にも秘めた理由はあった。

本当は奥さんを誘いたかった。

彼女と一緒に歩き、困難な旅程を踏破したかった。

それを言い出せないのが、彼の気の弱さ

2度観てやっとわかった。


エマ・トンプソンの奥さんなら、カッツよりもずっと有能な旅友になっただろうし、保守的な彼女が開かれていく過程こそ、本当に見たいシーンだった。


カッツというおじさんの謎よりも、


だんだんカッコよくなっていくロバート・レッドフォードよりも、


本当は夫婦の絆を見たかった。

それほどエマ・トンプソンの妻は魅力的だった。




全踏破出来なかったことを残念がるレビューもあったが、やっぱり惜しむらくは連れを間違えたこと。

あの口うるさい奥さんを口説き落とし、その気にさせてこそ、旅する意味も生まれようというもの。


とはいえ、老人2人の珍道中は失敗の連続で、その無様さに大笑いすること、しばしば。

人ごとじゃないのにね。



『エマおばあちゃん、山をいく』は図書館にリクエストした。

近所の初心者向けトレイルを探してみよう。

歳を理由に尻込みしてちゃダメだなと、勇気をもらった。