ふたりの世界
熱帯夜が続く。
眠りが浅くなる分、時間をたっぷり取ろうと午後9時には消灯。
2時間おきに目覚めるが、気にしない。
夜は睡眠を取るというより、体を休め、ラジオの世界に耳を傾ける時間なのだ。
今朝は4時過ぎに目覚めてしまい、二度寝するにも起きるにも中途半端な夜明け前。
らじるらじるの聴き逃しチャンネルを『音楽遊覧飛行』に合わせる。
作詞家・岩谷時子さんの特集だ。
「恋のバカンス」や「君といつまでも」も懐かしいが、ドキッとしたのが佐良直美さんの歌う「いいじゃないの幸せならば」
ふたりの世界があれば、世界を敵に回しても構わないみたいな風潮、当時は新鮮だったな。
どこか退廃的な、こういう歌が支持され、レコード大賞まで獲ったのだ。
デビュー曲である「世界はふたりのために」は、当時の高校の教師が全否定したのを覚えている。
2人のために世界はあるの〜って、何を思い上がっているんだ、と。
今はどうだろう。
ふたりなら、いいんじゃないかな。
ひとりじゃないなら。
3人よりも4人よりも、やっぱり気の合う2人に勝るものはない。
ひとりでは行けないところ、入りにくいお店も、ふたりなら怖くない。
先日、半年ぶりの研修会で、県図書館を訪れた。新型コロナ感染拡大予防のための制限が多く、図書館内もあちこち立入禁止の表示。
二階への階段も通行止になっている。
途方に暮れていたら、声をかけられた。
同期の女性だ。
知り合いの殆どいないボランティアサークルの中で、同期の数人だけ、かろうじて名前を知っている。
この際、親しいかどうかは関係ない。
2人になったことで、途端に心強く、通行止もなんのそのと、自動ドアは手でこじ開け、二階の研修室へ。
「こんなこと、ひとりだったらできないよね」と、どちらともなく呟く。
徒党を組む、という言葉がある。
ひとりなら大したことは出来ないのに、複数になると態度が大きくなる。
困った習性だ。
困った習性だが、それが俗人
というか、普通の人はそんなもの。
本当は、するべきこと、したいことに
ひとりで取り組むのがいい。
けれど、見つけるのは難しい。
まだ、見つけられていないかも。
午前5時、外の空気は温くても朝だ。
そんなことを考えながら歩いていると、
気の早い田んぼに稲穂。
8月も終わりになると、真緑の田が黄ばみ始める。
秋はちゃんと準備を始めている。
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