Linの気まぐれトーク

映画と小説の日々

『男と女』

今年の1月、『男と女Ⅲ 人生最良の日々』を観て、


あの大好きなアヌーク・エーメの現在の姿を知ることが出来た。

美しさは変わらず、年輪だけを刻んでいた。


『男と女』は1966年の作だという。

タイトルにおじけて、中高生の身分ではさすがに映画は観ていない。

ダバダバダ〜の音楽だけが先行した。


高校生の時、3本100円の場末の映画館で、往時のフランス名画を観た。

その一本にこの映画があった。



フランス映画は、なぜか後味が悪い。

ハリウッドのハッピーエンドを嘲笑うかのように、ほろ苦いペーソスを漂わせていたっけ。

ただ主演女優の美しさに目を奪われ、その名がアヌーク・エーメであることは覚えた。


それから半世紀、

彼女も老いたが、こちらも高齢者。

『男と女』は「20年後」と称して、Ⅱも制作されていたことを知る。


それが今回借りたDVD



1986年の作品にしては劣化していない。

つまり、あまり利用されなかったということ?

レビューを見ても、駄作ではないけど中途半端、制作意図が分からない、とあまり芳しくない。


2人は50代だろうか、

まだお互いに仕事を持つ身、



恋愛よりも仕事に生きがいを見出している。

人生で1番甘くない時期かも知れない。


映画プロデューサーとなっているアンヌは大作の制作に失敗、自身の20年前をミュージカル仕立てにすることを思いつく。


そこで前作がたっぷりと再現され、往年のファンは懐旧の情に浸ることになるのだが、

そんなラブストーリーはもう受けないことを、映画自身が語る。


クロード・ルルーシュ監督は、当時のスタッフを集めながら、前作の踏襲では作品にならないと悟ったのか、結局、(作中の)成功作はサスペンス仕立てだった。

80年代で、既に恋愛モノはすたれていたのか。


それから30年以上を経て、『人生、最良の日々』では、男は認知症を患う施設暮らし。

その辛口さは相変わらずだが、

他の人と結婚しても、特別と思える関係、

それがアンヌとジャン・ルイだったのなら、

やっぱり美しい関係だったと思う。


もしも結婚していたら、ⅡやⅢは出来なかった。

男と女は、結婚しない方が愛情は長続きするのだろうか。


これもフランス人らしい逆説かも知れない。