Linの気まぐれトーク

映画と小説の日々

叱られる力

阿川佐和子さんの『叱られる力』を読んでいる。お父上、阿川弘之氏の厳父ぶりに、程度の差こそあれ、昭和の父親はこうだったと懐かしくなる。

朝ドラ「スカーレット」の常治さんも理不尽な人だったが、その理不尽を飲み込むことが家族の絆を形成していた。


私の父も怖かった。

酔うとちゃぶ台をひっくり返して怒った。

私も姉もその言葉に怯え、顔色を伺って生きていた。

今でも会えば、父の理不尽な怒りの話になる。


あれは中学3年生の時だったか

校外模試を受けるため、一人でバスを待っていた。

が、時間を間違えたのか待てど暮らせどバスは来ない。

そこで気持ちが切れたのか

元々受けたいと思っていた模試でもなし、もうやーめた、と帰宅した。

すると父が激怒した。

「そうやって人生のバスも乗り遅れるのだぞ」


なんて大げさな。

私の人生なのだ、父には関係ない。

そう思ったが、もちろん口には出さない。

臆病者、小心者で模試すら受けに行けない子どもだと思われた。


小心は父の遺伝だ。

父の、小心ゆえの心配だったのだろう。


他界して10年以上が経つ。

最後まで弱音を吐かず、在宅でガン死した父だった。

雨の朝

不要不急の外出を控えるようになって1カ月、

体力維持のためのウォーキングと自室でのエクササイズ、あとは読書の日々。

元々、出歩くのは好きではない。

昨年嘱託の仕事も辞し、引きこもり生活を始めている。

が、そのささやかなボランティア活動さえもストップしてしまった。



これは意外に堪える。

今はウォーキングで見つける「春」に日々の移ろいを感じるしかない。





コロナ渦の1日も早い収束を願わずにはいられない。