取り止めのない読書
読書会の顧問の先生に紹介して頂いた本、『灯台からの響き』(宮本輝・作)に、気になる本が登場する。
森鴎外の『渋江抽斎』、ラーメン屋の主人公の愛読書で、作中、彼は何度でも読んでいる。
手持ちの文庫本が擦り切れてしまえば、また新たに購入して読んでいる。
高校生の現代国語の教師が言っていた。
「鴎外の『渋江抽斎』はいい作品だが、今の君たちにはわからないだろう。この本は大人にしかわからない」と。
ううむ、今ならわかるだろうか。
そんな興味もあって、図書館から全集を借り受け、読み始めた。
夢中にはならない。けれど、退屈でもない。
何度でも読めるというのは、こういうことだったのか。
半分ほど読んだところで、返却日が来た。
予約本の順番も来ていた。
その予約本が『類』(朝井まかて・作)
鴎外の末っ子、類の生涯を扱った創作だ。
それを読んだら、俄然、きょうだいのことを知りたくなった。
森類氏の著作も気になる。
近所の図書館で手に入るものを、とりあえず借りた。
すると、驚いたことに森類氏の著作の中に熊谷守一が登場するのだ。(「狐の家来」)
繋がっているんだ、と一人でウケる。
誰ともこの喜びを分かち合えないのが残念。
繋がっているといえば、来月の読書会で私が取り上げる群ようこさんの著作にも、森茉莉に関するものがある。
一見、正反対のように見える2人だが、何か響き合うものがあるのか。
魔法にかけられたような茉莉さんと、
現実を掛け値なしに見る群さんと、
この2人だからこそ、見えて来るものがあるに違いない。
群さんは、古い著作が面白い。
平林たい子や林芙美子の評伝を読みながらそう思う。
取り止めのない1日、
ウォーキングでやっとアスファルトを踏みしめ、
ひとり時間を楽しむための珈琲と、
引きこもりの食料を買い込んで、
読書と映画(D VD)の日々。
母校から調査票が届いた。
その質問の冒頭が「現在、あなたは幸せだと思いますか」
まいったな。自己申告で「全く幸せではない」と答える人など居るのだろうか。
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