Linの気まぐれトーク

映画と小説の日々

小説『82年生まれ、キム・ジヨン』

これももう1ヶ月近く前になるのか、

〈高橋源一郎の飛ぶ教室〉で、おすすめの一冊として取り上げられた。

映画は観ていたし、小説は韓国でベストセラーになったとも聞いていた。

が、日本でも出版され、話題になっているとは知らなかった。

パートナーの女性アナウンサーも、

ゲストの詩人・伊藤比呂美さんも、

わたしよりは絶対年下だと思うが、身につまされるという。


高橋源一郎氏は、小説の一節を読む。

キム・ジヨン氏の母親が、2人続けて女の子を産み、3人目を授かったとき夫に冗談のように言う、3人目も女の子だったらどうする?と。

夫は、縁起でもないことを言うな、本当にそうなったらどうするんだ、と真顔で言って背を向ける。母親は一晩泣き、子を堕した。


映画にこのシーンはあっただろうか。

よく思い出せない。


が、わたし自身次女として生まれ、父親を嘆かせた話はイヤというほど母親から聞かされていた。これはひと事ではなかった。

母は、3人目が出来たとき、父親にお伺いを立てると「男なら産め」と言われたと、何度もわたしに話して聞かせた。

そんなことがわかるはずもない時代だった。

母は罪を作ったという。

母は、どんなに悔しかったことか。

もしも弟が産まれていたら、わたしもキム・ジヨンと同じ運命を辿っていたかもしれない。


何が何でも小説を読まねば。

近所の図書館にリクエストして、2週間待った。

そして今日、その本を手にしている。




女の顔は、風景だ。風景と同じなのだ。

環境に溶け込み個を持たない存在。


作者のチョ・ナムジュ氏は、この作品で手を挙げることは出来たが、具体的な行動は出来なかったと、短編集を出す。



こちらも顔を隠した女性たち。


表向き、男女格差は消えているが、あくまで表向き。

本当のところはどうなのだろう。


今日は思いがけず雨。



ウォーキングはトレッキングシューズで。



靴ひとつにも闘いの歴史が。


日暮れて風も出始めた。

年末年始はぐっと冷えそうだ。