Linの気まぐれトーク

映画と小説の日々

「男だろ!」

箱根駅伝中継は、もはや正月の風物詩。

まだ子どもが幼い頃は、正月早々、テレビにかじり付く夫を冷ややかに見ていたが、

やはり青山学院が優勝したときからだろうか、

子どもたちが独立したこともあり、

いつしか正月の代名詞に。


力走する選手には申し訳ない気もするけれど、

ああ、お正月だなぁと思うひととき。

夏の甲子園に似て、ただもう若人の力走を見たくて、テレビに釘付けとなる。


さて、今年は異変が起きた。

常勝の青学が、まさかの出遅れ。

自分は文化系なのに、青学の健闘を同級生たちと我がことのように喜ぶ夫。

だが今年は「こりゃ、ダメだわ」とか、

「なあんだ、つまらん」とか。


自分が走るわけでも、指導したわけでもないのに何を偉そうに、と聞く方は面白くない。

よっぽど「ただの卒業生じゃん」と言ってやろうかと思ったが、70過ぎの爺さんに逆らうのも大人げない。


復路の2日目。

青学はシード権さえない12位から、まさかの4位浮上。復路優勝を果たした。

それ以上に驚いたのが、大逆転劇。

3分以上の差でアンカーがタスキを受けた時は、もう創価大に決まりだと、誰もが思った。

まさか、駒澤大の石川クンがここまで力走するとは。


追う者、追われる者の心理差もあるだろう。

が、大八木監督の名ゼリフらしい「男だろ!」に拳を挙げて応えるアンカーに、もしかして、と思い始める。


「男だろ!」

確かに萌える言葉だ。

この際、オトコは男よりも漢だろう。

漢は、男の中の男、ヒーローを意味する。

だからこそ、「オトコだろ!」が檄となる。

駒澤大のアンカーは、男の中の男になった。

カッコいい。


が、私は女だからか、抜かれた創価大のアンカー小野田選手にも同情してしまう。

あの立場、辛いよなぁ。

よくプレッシャーに耐えて最後まで走り抜いた。そして2位(準優勝)を死守した。

彼も漢だ。


正月からすごいドラマを観てしまい、

暗い時勢を前向きに生きる小さなきっかけをもらった。

女でも「漢だろ!」と心の中で叫びたい。

顔を上げて進みたいから。