寂聴さん
長寿である。
が、決して穏やかな道のりではなく、病気や老衰との前向きな闘いを繰り返されての今日のようだ。
新春特別番組「高橋源一郎の飛ぶ教室」に電話出演され、そのお話しぶりの若々しさに驚いたことは、以前書いた。
その時紹介された著書『いのち』を、早速図書館で予約し、先程読み終えたばかり。
出演者の1人が「長く生きていた者勝ちですよね」としみじみ言ったのは、
著書の内容が河野多恵子や大庭みな子など、実在の作家の思い出話だからだろう。
「わたしが書かなければ」と、生き残った寂聴さんは使命感に駆られたに違いない。
確かに語られているのは、作家としての河野多恵子や大庭みな子というより、寂聴さんの友人としての彼女たちだった。
やっぱり長生きしたもの勝ち。
これは寂聴さんの目から見た河野多恵子や大庭みな子であり、彼女たちが書けば、また違う寂聴像が浮び上がると思うから。
私たちは書き残されたものでしか知ることはできなくて、
それが小説の偉大さでもあり、怖さでもあると思う。
河野多恵子や大庭みな子の著作も読んでみようかな。
こんなふうに広がっていく緩い読書、
楽しい。
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