ある日の夫婦の会話
午前10時過ぎ、ウォーキングで某小学校前を通ると、駐車場は車でいっぱい。
出入りする車両も次々と。
今日は日曜のはずなのに、と覗き込めば、選挙の投票会場になっているのだった。
小雨模様の寒い日なのに、この賑わい。
そうだ、投票に行かなければ。
珍しく、保守王国と言われている岐阜に、保守分裂が起こった。
再選されれば5期目となり、県政史上稀にみる長期政権?となるF氏73歳と、5選阻止のために立ったE氏、こちらは50代。
夫は新しいもの好きなので、大した考えもなく新しい候補に投票したらしい。
私は緊急事態宣言下の今、首長を変えたくはないと、F氏に投票。
考えてみれば、保守系に投票したのは初めてだ。
結果はF氏の5選、開票後わずか30分で当確が出る呆気なさだった。
その夫、先日は娘の嫁ぎ先の葬儀に行き、帰宅して珍しく感想を述べた。
「あの家の亭主はおかしい。自分の方がずっとまともだとわかった」とのたまうのだ。
一瞬、我が耳を疑ったけれど、間違いなく夫はそう言った。
「何かの本に書いてあったんだけど、年を取ると誰でも頑固になるし、自分だけが正しいと思うらしいよ」
夫はまだ不満げだ。
「まだ若くて老醜を想像できない人は、相手の長所と短所を考えてみるといいって」
夫はふむふむと聞いている。
「年をとると、その短所ばかりが強調されて表れるらしい。わたしもそうだけどね」
私はもちろん夫の短所を考えている。自分もそうだと言うのは言葉の綾だ。
すると珍しく夫は、「そうだね」と言った。
何に同意したのか。
もしかして、私が短所まみれであることに頷いたのか。
歳を取れば、夫婦もいたわり合うと思っていたが、全然そうはならない。これじゃ、老化の度合をバトルし合うライバルだ。
夫の尊大な発言はそれで終わった。
そのうち、尊大であろうが、ジコチューであろうが、まともにしゃべれるだけで良し、なんて日が来るかもしれないけどね。
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